4話 保健所通いの日々

登場人物

保宏明
NPO法人杜の家会計担当兼おおもり農園事務方。
苺のしずく開発担当者。

森高寛行
NPO法人杜の家事務局長。
おおもり農園の事務方でもある。

森高)今回も開発担当者の思い出をお聞きしていきます。カクテル専用シロップとして開発を進めることになりましたが、ここからが結構大変でしたね。

保)とても大変でした(笑)。シロップを作り、商品の方向性を決めるところまでは何だかんだ言いながら楽しく取り組んでいたのですが、製造販売のための許可申請手続きが大変で。未経験だったので全てが手探りでした。

森高)保健所とのやりとりですね。ではそのあたり、順を追って教えてください。

保)まず保健所に、どういう手続きが必要なのか聞きに行きました。そこで「食品表示」「栄養成分表示」をしなければならないことと、その項目について教えてもらいました。

森高)食品の裏に書いてあるアレですね。アレはどうやって項目とか数値とか決まるのですか?

保)食品表示のほうはネットで類似の食品の事例を探して、だいたい当たりをつけて作ったものを保健所で確認してもらう感じです。

森高)なるほど。栄養成分などは?

保)栄養成分と賞味期限は自分で調べることもできるのですが、第三者機関の検査に出しました。そのほうがより正確な数値を示すことができるので。

森高)健康づくり財団で調べてもらったんでしたっけ。

保)そうです。

森高)そうやって表示項目を揃えて、保健所に提出すれば許可が出ると。

保)いえ、まだあります。製造許可も取りました。これはなくても構わないのですが、あったほうがより社会的信用が増すというものです。

森高)なるほど。成分表示もそうですが、より信頼される形を目指したわけですね。その製造許可は簡単に取れたんですか?

保)いえ、これも大変でした。製造する場所自体はあったんですが、加工場として許可を取るために必要な建築要件を満たすには改装が必要でした。建築業者さんに加わってもらって、要件を満たす改装プランを立ててもらい、それを私が保健所へ持っていって確認する、という作業を何度もしました。

森高)最終的にOKが出るまで時間はかかりましたか?

保)3ヶ月くらいやりとりしましたね。

森高)よくやりとりできましたね。建築用語とか分かるんですか?

保)全然分からない所からスタートしたので苦労しました(笑)